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会長挨拶
第48回心筋生検研究会
会長 尾上健児 (奈良県立医科大学 循環器内科 准教授)
この度、第48回という長い歴史を重ねてきた心筋生検研究会学術集会の会長を務めさせていただくこととなり、大変光栄に存じます。
心筋生検は、我が国がその発展に大きく貢献してきた検査法であり、心臓病理の解明にとどまらず、循環器疾患全般の病態理解に大きく寄与してきた非常に強力なモダリティです。日常臨床においても、身体所見や心電図、心エコー、心臓MRIなどから得られる情報とともに、その背景にある病理像を思い描きながら診療にあたることは、循環器診療の深みを一層増すものと感じています。
私自身、心筋症に関心を抱き、この疾患に苦しむ患者さんに少しでも貢献したいとの思いから循環器内科を志しました。研修医を終える頃に心筋生検、そして心臓病理と出会い、身体診察や画像診断だけでは知り得ない、病態の本質に近いものを自らの目で見ることができることに強い感銘を受けたことを今でも覚えています。その後も、心臓病の真なる実像を探究し、それを理解し、最終的に診療へ還元していく上で、心臓病理が果たす役割の大きさを実感してきました。また、基礎研究や遺伝子解析など研究手法が大きく進歩した現在においても、病理像は常に「真実を映す鏡」であると感じています。
今回の学術集会のテーマを、「心実を探究する」といたしました。「真実(VERITAS)」の「真」を「心」に置き換えた言葉ですが、そこには、心筋生検を通して心臓の真の姿を見つめ、病態の本質に迫り、その成果をより良い医療へとつなげていきたい、そしてその姿勢を次世代の先生方にも受け継いでいただきたい、という思いを込めています。
お陰様で、YIAへの19演題を含め、50演題ものご応募をいただきました。厳正かつ公正な審査の結果、YIAは最終候補として7演題を選出させていただきました。いずれも心筋生検・心臓病理を起点として新たな病態理解へ迫る大変興味深い演題であり、本番での発表と議論を心待ちにしております。
また、シンポジウムとして「心筋細胞の心実」「心実探求へ ~医療の進歩を追い求める~」「免疫と炎症の心実」の3つを企画しました。電子顕微鏡による微細構造、ミトコンドリアや筋小胞体、T管膜といった心筋細胞の構造と機能から、AI、iPS細胞、ゲノム解析、さらには心筋炎をはじめとする免疫・炎症まで、12名の多彩な分野の先生方にご登壇いただきます。心筋生検そのものにとどまらず、心筋生検を一つの出発点として、基礎医学、病理学、画像診断、ゲノム医学、AIなど多様な視点から広く「心実」を議論していただきたいと考えています。
さらに、一般口演・ポスター発表に加え、8つの企業共催セミナーにもご協力をいただき、心筋症、心筋炎、心アミロイドーシス、Fabry病など、基礎から臨床、診断から治療までを幅広く議論できる、大変充実したプログラムを組むことができました。ご応募、ご登壇いただく先生方、座長・選考委員の先生方、共催企業の皆様、学術集会事務局の皆様、そして本学術集会の開催にご尽力いただいたすべての皆様に、改めまして心より御礼申し上げます。
深まりゆく秋の奈良・春日野の地で、世代や専門領域を越えて議論を交わし、心臓の真の姿、「心実」をともに探究する二日間となることを願っております。
多くの先生方に奈良でお会いできますことを、心より楽しみにしております。

